かわあしれる。みずえずながれ、おなみず二度にどもどらない。では、それは「おなかわ」なのか。紀元前きげんぜん6世紀せいきまつしょうアジアAsia都市としエペソスEphesosきた哲学者てつがくしゃヘラクレイトスHērakleitosは、このいに宇宙うちゅう根本こんぽん原理げんりた。

万物ばんぶつ流転るてんする。しかしその変化へんか混沌こんとんではない。ひるよるせい戦争せんそう平和へいわ。つまり対立たいりつするものはじつはひとつであり、その背後はいごには万物ばんぶつつらぬく「ロゴスlogos」(理法りほう)がはたらいている。現代げんだい気候きこう変動へんどう地政ちせいがくてき対立たいりつ技術ぎじゅつ革新かくしん)あらゆるものが加速度かそくどてき変化へんかする時代じだいにあって、「変化へんかなかにこそ秩序ちつじょがある」とかたったこの哲学者てつがくしゃこえは、かつてないほど切実せつじつひびく。

だがヘラクレイトスHērakleitos平易へいいかたることをこばんだ。なぞめいた箴言しんげんき、大衆たいしゅう軽蔑けいべつし、古代こだいから「くらひと」(ホ・スコテイノスho Skoteinos)とばれた。その難解なんかいさは、しかしもの思考しこういるための意図いとてき仕掛しかけだった。ロゴスlogos言葉ことばくだけではからない。みずか探究たんきゅうし、目覚めざめなければならない。

ほん記事きじでは、やく130の断片だんぺんがかりに、ヘラクレイトスHērakleitos思想しそう核心かくしんロゴスlogos対立たいりつ統一とういつ宇宙うちゅうろん)をかし、なぜ2500ねんわたしたちがなおかれむべきかをう。

この記事きじ要点ようてん

  • ロゴスlogos理法りほう万物ばんぶつ変化へんか背後はいごには、宇宙うちゅうつらぬ共通きょうつう理法りほうがある。ヘラクレイトスHērakleitosはこれを「ロゴスlogos」とび、自然しぜん思考しこう言語げんご統一とういつてき把握はあくする原理げんりとした。この概念がいねんストアStoa西洋せいよう哲学てつがく中心ちゅうしん概念がいねんとなった。
  • 万物ばんぶつ流転るてん対立たいりつ統一とういつ世界せかいえず変化へんかし、対立たいりつするものは相互そうご依存いぞん転化てんかする。この動的どうてき均衡きんこうこそが秩序ちつじょであり、変化へんか安定あんてい同時どうじ思考しこうする弁証法べんしょうほうてき思考しこう原型げんけいである。
  • 宇宙うちゅうろん万物ばんぶつ根源こんげんであると同時どうじに、変化へんかそのものの象徴しょうちょうである。えながらかたちつづけるのように、宇宙うちゅう永遠えいえん生成せいせい変化へんかのプロセスそのものである。

生涯しょうがい時代じだい背景はいけい

ヘラクレイトスHērakleitosについて確実かくじつかっていることはおどろくほどすくない。かれ紀元前きげんぜん535ねんごろしょうアジアAsia現在げんざいトルコTurkey西部せいぶ)のイオニアIōnia地方ちほうにある有力ゆうりょく都市としエペソスEphesosまれた。王族おうぞくバシレウスbasileus)の家系かけいぞくしていたが、政治せいじてき特権とっけんおとうとゆずったとつたえられる(ディオゲネス・ラエルティオスDiogenēs Laertios哲学者てつがくしゃ列伝れつでん』IX.6)。

エペソスEphesosアルテミスArtemis神殿しんでんられる富裕ふゆう港湾こうわん都市としであり、東西とうざい交易こうえき要衝ようしょうだった。しかしヘラクレイトスHērakleitosきた時代じだいは、ペルシアPersia帝国ていこく圧力あつりょくイオニアIōniaしょ都市としせまりつつある緊張きんちょう時期じきだった。紀元前きげんぜん499ねんイオニアIōnia反乱はんらん紀元前きげんぜん494ねんミレトスMilētos陥落かんらく。こうした激動げきどうのなかで、かれ変化へんか対立たいりつ本質ほんしつつめた。

ヘラクレイトスHērakleitos独学どくがくほこり、たなかったと主張しゅちょうした。「わたし自分じぶん自身じしん探究たんきゅうした」(DK 22B101)。同時どうじだい知識ちしきじんピタゴラスPythagorasクセノファネスXenophanēsヘカタイオスHekataios)を痛烈つうれつ批判ひはんし、「博学はくがくポリュマティエーpolymathiē)は知性ちせいヌースnous)をおしえない」(DK 22B40)とだんじた。おおくをることとしん理解りかいすることはべつだ。この確信かくしんが、かれ哲学てつがく出発しゅっぱつてんである。

かれ一冊いっさつ書物しょもつあらわし、アルテミスArtemis神殿しんでん奉納ほうのうしたとつたえられる。後世こうせい自然しぜんについて』(ペリ・ピュセオースPeri Physeōs)とばれたこの著作ちょさくはやくに散逸さんいつし、現在げんざいはおよそ130の断片だんぺん後世こうせい著作ちょさく引用いんようつうじてのこっている。紀元前きげんぜん475ねんごろぼっしたとされるが、正確せいかく年代ねんだい不明ふめいである。

かれ性格せいかく孤高ここうそのものだった。貴族きぞく血筋ちすじにふさわしい矜持きょうじち、同胞どうほう市民しみん軽蔑けいべつしてやまなかった。エペソスEphesos人々ひとびとすぐれた市民しみんヘルモドロスHermodōros追放ついほうしたとき、ヘラクレイトスHērakleitosは「エペソスEphesos成人せいじん一人ひとりのこらずくびってに、この都市とし未成年みせいねんしゃゆだねるがよい」とてた(DK 22B121)。アルテミスArtemis神殿しんでん境内けいだい子供こどもたちとサイコロあそびにきょうじ、「なぜおどろく? おまえたちと政治せいじをするよりましだ」とはなった逸話いつわもある(ディオゲネス・ラエルティオスDiogenēs LaertiosIX.3)。

晩年ばんねん伝承でんしょうはさらに印象いんしょうてきだ。ヘラクレイトスHērakleitos水腫すいしゅむくみedema)をわずらい、医師いし治療ちりょうもとめたが、かれなぞめいたまわし(「洪水こうずい旱魃かんばつえられるか」)を理解りかいする医師いしはいなかった。みずか牛糞ぎゅうふんのなかにめて「湿しめり」をそうとし、そのままぼっしたともつたえられる(ディオゲネス・ラエルティオスDiogenēs LaertiosIX.3-4)。この逸話いつわ史実しじつかどうかは不確ふたしかだが、「かわいたたましい」をぜんとするかれ思想しそう奇妙きみょう呼応こおうしており、ヘラクレイトスHērakleitosという人物じんぶつ伝説でんせつ物語ものがたっている。

ミニ年表ねんぴょう

  • 紀元前きげんぜん546ねんペルシアPersiaキュロスKyros2せいイオニアIōniaしょ都市とし征服せいふく
  • 紀元前きげんぜん535ねんごろエペソスEphesosまれる(王族おうぞく家系かけい
  • 紀元前きげんぜん500ねんごろ著作ちょさく自然しぜんについて』をアルテミスArtemis神殿しんでん奉納ほうのうしたとされる
  • 紀元前きげんぜん499〜494ねんイオニアIōnia反乱はんらんミレトスMilētos陥落かんらく
  • 紀元前きげんぜん490ねんマラトンMarathōnたたか
  • 紀元前きげんぜん475ねんごろエペソスEphesosにてぼっする

この哲学者てつがくしゃなにうたのか

ミレトスMilētos学派がくはは「万物ばんぶつ根源こんげんアルケーarchē)はなにか」をい、タレスThalēsみずを、アナクシメネスAnaximenēs空気くうきこたえとした。ピタゴラスPythagorasかずした。これらはいずれも変化へんか背後はいごにある不変ふへん基体きたいもとめる発想はっそうだった。

ヘラクレイトスHērakleitosいは根本こんぽんからことなる。かれ変化へんかの「背後はいご」ではなく、変化へんかそのもののうちに秩序ちつじょ見出みいだした。いは「世界せかいなにからできているか」ではなく、「世界せかいはなぜ変化へんかしながら秩序ちつじょたもつのか」だった。

この視点してん転換てんかん決定けっていてき重要じゅうようである。静的せいてき基体きたいではなく動的どうてきなプロセスを実在じつざい核心かくしんえたこと。ここにヘラクレイトスHērakleitos独創どくそうせいがある。のちヘーゲルHegelみずからの弁証法べんしょうほう先駆せんくヘラクレイトスHērakleitos見出みいだし、「ヘラクレイトスHērakleitos命題めいだいで、わたしの『論理学ろんりがく』にれなかったものはひとつもない」とべた(『哲学てつがく講義こうぎ』)。

核心かくしん理論りろん

1. ロゴスlogos──万物ばんぶつつらぬ理法りほう

ヘラクレイトスHērakleitos著作ちょさくつぎ言葉ことばはじまったとされる。「このロゴスlogosつね存在そんざいしているのに、人間にんげんたちは理解りかいしない。まえも、はじめていたあとも」(DK 22B1)。ロゴスlogosλόγοςロゴス)は古代こだいギリシャGreeceで「言葉ことば」「ことわり」「比率ひりつ」「説明せつめい」など多義たぎてきだが、ヘラクレイトスHērakleitosはこれに独自どくじふか意味いみめた。

ヘラクレイトスHērakleitosはさらにこうべる。

"「わたしにではなくロゴスlogosみみかたむけて、万物ばんぶついちであることをみとめるのが知恵ちえである。」" 出典しゅってん:DK 22B50(ヒッポリュトスHippolytos全異端ぜんいたん反駁はんばく』IX.9.1に引用いんよう

この断片だんぺんヘラクレイトスHērakleitos哲学てつがく核心かくしん凝縮ぎょうしゅくしている。重要じゅうようなのは「わたしにではなくロゴスlogosに」という一節いっせつだ。ロゴスlogos個人こじん意見いけんえた客観きゃっかんてき真理しんりであり、ヘラクレイトスHērakleitos自身じしんもまたその媒介ばいかいしゃにすぎない。哲学てつがく個人こじん権威けんいではなくことわりちからによってかたられるべきだ。これは哲学てつがくてき態度たいど重要じゅうよう宣言せんげんである。

ロゴスlogosとは、万物ばんぶつ変化へんか支配しはいする法則ほうそく原理げんりであると同時どうじに、それをかた言葉ことばでもある。宇宙うちゅう構造こうぞう言語げんご構造こうぞうかさなる。この二重にじゅうせいきわめて重要じゅうようだ。ロゴスlogos客観きゃっかんてき自然しぜん法則ほうそくであると同時どうじに、人間にんげん理性りせいによって把握はあくしうる対象たいしょうでもある。

いち万物ばんぶつであり、万物ばんぶついちであるということ、これをることが知恵ちえである」(DK 22B50の趣旨しゅし)。多様たよう現象げんしょう背後はいごにある統一とういつ原理げんりロゴスlogosぶとき、ヘラクレイトスHērakleitos先行せんこうする自然しぜん哲学者てつがくしゃたちの質料しつりょうろんてきいをえて、存在そんざい認識にんしき双方そうほうにまたがる原理げんり提示ていじしたのである。

ただし大多数だいたすう人間にんげんロゴスlogos理解りかいしていない。「みみ蛮族ばんぞくたましいものにはわる証人しょうにんである」(DK 22B107)。感覚かんかくがかりにはなるが、理性りせいなしには真実しんじつには到達とうたつできない。ヘラクレイトスHērakleitos箴言しんげんてき文体ぶんたいは、もの受動じゅどうてき聴取ちょうしゅから能動のうどうてき思考しこうへといざな装置そうちだった。

2. 万物ばんぶつ流転るてん──パンタ・レイpanta rhei

おなかわはいものには、つねことなるみずながれている」(DK 22B12)。この「かわ比喩ひゆ」はヘラクレイトスHērakleitos思想しそう象徴しょうちょうするもっと有名ゆうめいなイメージである。なお「パンタ・レイpanta rhei」(πάντα ῥεῖパンタ・レイ万物ばんぶつながれる)という定式ていしきプラトンPlatōnクラテュロスKratylos』(402a)に由来ゆらいし、ヘラクレイトスHērakleitos本人ほんにん言葉ことばではないとされる。

しかし重要じゅうようなのは、これが単純たんじゅんな「すべてはわる」という主張しゅちょうではないことだ。かわみずわりながらもかわでありつづける。ヘラクレイトスHērakleitos見出みいだしたのは、変化へんかのなかの持続じぞく流転るてんのなかの同一どういつせい、つまり動的どうてき平衡へいこうとしての存在そんざいである。生物せいぶつがくでいう「恒常こうじょうせい」(ホメオスタシスhomeostasis)の発想はっそうは、ここにすでに胚胎はいたいしている。

人間にんげん身体しんたいもまたかわのようなものだ。細胞さいぼうえずわり、数年前すうねんまえ自分じぶん物質ぶっしつてきにはほぼべつ存在そんざいでありながら、「わたし」はわたしでありつづける。ヘラクレイトスHērakleitos洞察どうさつは、変化へんか否定ひていするのではなく、変化へんかのうちに秩序ちつじょ知恵ちえにある。

3. 対立たいりつ統一とういつ──えない調和ちょうわ

えない調和ちょうわえる調和ちょうわよりもつよい」(DK 22B54)。ヘラクレイトスHērakleitos思想しそうもっと独創どくそうてき要素ようそは、対立たいりつするものの統一とういつ理論りろんである。

やまい健康けんこうこころよくし、えが満腹まんぷくを、疲労ひろう休息きゅうそくこころよくする」(DK 22B111)。対立たいりつぶつ相互そうご定義ていぎい、一方いっぽうがなければ他方たほう存在そんざいしえない。あつさをらなければさむさはからない。がなければせい意味いみ成立せいりつしない。

さらに対立たいりつぶつ相互そうご転化てんかする。「つめたいものはあたたまり、あたたかいものはえ、湿しめったものはかわき、かわいたものはうるおう」(DK 22B126)。ひるよるわり、よるひるわる。せいわり、あたらしいせいむ。この動的どうてき転化てんかのプロセスこそが、宇宙うちゅう秩序ちつじょロゴスlogos)にほかならない。

ヘラクレイトスHērakleitosはこれをゆみ竪琴たてごと比喩ひゆ説明せつめいする。「はんするちから結合けつごうゆみ竪琴たてごとのように)」(DK 22B51)。ゆみげん反対はんたい方向ほうこううことで機能きのうする。竪琴たてごとげん張力ちょうりょくわく抵抗ていこうとの緊張きんちょうから音楽おんがくまれる。対立たいりつがなければ調和ちょうわもない。これがヘラクレイトスHērakleitos中心ちゅうしん命題めいだいである。

この思想しそうはさらにみっつの重要じゅうよう断片だんぺん深化しんかされる。

まず「のぼりのみちくだりのみちひとつにしておなじ」(DK 22B60)。山道やまみちのぼものには「のぼり」、くだものには「くだり」であるが、みちそのものはおなじである。対立たいりつ視点してんちがいであり、実在じつざいとしてはひとつ。この洞察どうさつは、物質ぶっしつ変化へんかだけでなく認識にんしき構造こうぞうをもうている。

つぎに、「おなじもの(きているものとんだもの、めているものとねむっているもの、わかいものといたもの)。なぜなら前者ぜんしゃわれば後者こうしゃであり、後者こうしゃわれば前者ぜんしゃだから」(DK 22B88)。ここでヘラクレイトスHērakleitosは、対立たいりつぶつたん並存へいそんするのではなく、一方いっぽうから他方たほうへの転化てんかのプロセスとして連続れんぞくしていることをしめす。せいへの途上とじょうであり、あたらたなせいへの転機てんきである。

そしてもっと大胆だいたん断片だんぺん。「かみひるにしてよるふゆにしてなつ戦争せんそうにして平和へいわ飽満ほうまんにして飢餓きが」(DK 22B67)。対立たいりつ統一とういつたんなる物理ぶつり法則ほうそくではない。それは神的しんてきなものの本質ほんしつそのものである。ヘラクレイトスHērakleitosの「かみ」はホメロスHomēros神々かみがみのように人間にんげん存在そんざいではなく、対立たいりつするすべてのものを包摂ほうせつする全体ぜんたいせいであり、ロゴスlogos別名べつめいにほかならない。「いちなるもの──唯一ゆいいつ知恵ちえ──はゼウスZeusばれることをのぞみ、またのぞまない」(DK 22B32)。かみというんでよいが、既存きそんかみ概念がいねんにはおさまらない──この両義りょうぎせいヘラクレイトスHērakleitosらしい。

4. たたかい──万物ばんぶつちち

たたかい(ポレモスpolemos)は万物ばんぶつちちであり、万物ばんぶつおうである」(DK 22B53)。現代げんだい感覚かんかくでは不穏ふおんこえるこの言葉ことばは、しかし軍事ぐんじてき戦争せんそう礼賛らいさんではない。ここでの「たたかい」は対立たいりつ闘争とうそう緊張きんちょう万物ばんぶつ生成せいせいさせる原動げんどうりょく)のことだ。

もし対立たいりつ消滅しょうめつすれば、世界せかいそのものが消滅しょうめつする。ヘラクレイトスHērakleitosホメロスHomēros詩句しく(「あらそいが神々かみがみ人間にんげんあいだからえますように」)を批判ひはんした。なぜならあらそいがなくなれば調和ちょうわもなくなるからだ(アリストテレスAristotelēsニコマコスNikomachos倫理学りんりがく』VIII.2, 1155b4参照)。平和へいわ緊張きんちょう不在ふざいではなく、対立たいりつするちから均衡きんこうしている状態じょうたいなのだ。

5. ──世界せかい根源こんげん変化へんか象徴しょうちょう

「この世界せかいは、神々かみがみのいずれがつくったのでもなく人間にんげんのいずれがつくったのでもない。つねにあったし、あるし、あるであろう──永遠えいえんきるであり、一定いってい度合どあいでえ、一定いってい度合どあいでえる」(DK 22B30)。これはヘラクレイトスHērakleitos宇宙うちゅうろん端的たんてきしめ最重要さいじゅうよう断片だんぺんのひとつである。

ピュルpyr)はミレトスMilētos学派がくはみず空気くうき同列どうれつの「元素げんそ」ともめるが、より正確せいかくには変化へんかのプロセスそのものの比喩ひゆである。燃料ねんりょう消費しょうひしながらみずからを維持いじする。つまり変化へんかすることによってのみ同一どういつせいたもつ。これはまさに「かわ比喩ひゆ」とおな構造こうぞうであり、ロゴスlogos具体ぐたいである。

ヘラクレイトスHērakleitos変転へんてんえがく。「転変てんぺん。まずうみうみ半分はんぶん大地だいち半分はんぶん灼熱しゃくねつかぜ」(DK 22B31)。みずつちみずという循環じゅんかんは、万物ばんぶつからまれかえるという宇宙うちゅうおおきなリズムをあらわしている。ここにも「一定いってい度合どあい」(つまりロゴスlogosによる秩序ちつじょ)がつらぬいている。

なお、ヘラクレイトスHērakleitos宇宙うちゅう周期しゅうきてきだい火災かさいエクピュローシスekpyrōsis)をいたかどうかは論争ろんそうちゅうである。ストアStoaはそう解釈かいしゃくしたが、DK 22B30の「つねにあった」という表現ひょうげん宇宙うちゅう永遠えいえんせい含意がんいしており、現代げんだいおおくの研究者けんきゅうしゃヘラクレイトスHērakleitos本人ほんにん世界せかい消滅しょうめつ再生さいせいいていなかったとかんがえている。

6. たましい倫理りんり──かわいたたましい

かわいたたましいもっとかしこもっとすぐれている」(DK 22B118)。たましいプシュケーpsychē)は親縁しんえん関係かんけいにある。たましいが「かわいている」とき(すなわちちかいとき)、知性ちせいするどくなる。ぎゃくたましいが「湿しめる」と(酩酊めいてい快楽かいらくおぼれると)知性ちせいくもる。「っぱらいは少年しょうねんみちびかれる、あしもとがおぼつかず、たましい湿しめっているから」(DK 22B117)。

たましいふかさはロゴスlogosふかさとむすびついている。「たましい限界げんかいあるいて見出みいだすことはできないだろう。すべてのみちくしても。それほどふかロゴスlogosっているのだ」(DK 22B45)。たましい宇宙うちゅうロゴスlogosつうじており、自己じこ探究たんきゅう宇宙うちゅう探究たんきゅう表裏一体ひょうりいったいである。

さらに注目ちゅうもくすべきは、たましいみず循環じゅんかんえが断片だんぺんである。「たましいにとってはみずになることがであり、みずにとってはつちになることがである。しかしつちからみずまれ、みずからたましいまれる」(DK 22B36)。ここでたましいみずつちという宇宙うちゅうろんてき変転へんてん(B31)のなかに位置いちづけられる。たましいちかいほど覚醒かくせいし、みずかうほどちかづく。倫理りんり宇宙うちゅうろんがここで一体いったいとなる。きることとは、たましいかわかしちかづけること──すなわちロゴスlogos目覚めざめることにほかならない。

7. 目覚めざめとねむり──共通きょうつう世界せかい私的してき世界せかい

ヘラクレイトスHērakleitos人間にんげんを「目覚めざめているもの」と「ねむっているもの」にけた。「目覚めざめているものたちにとって世界せかいひとつであり共通きょうつうであるが、ねむっているもの各自かくじ私的してき世界せかいかう」(DK 22B89)。

目覚めざめ」とはロゴスlogos認識にんしきすること、つまり万物ばんぶつ共通きょうつうする理法りほう理解りかいすることである。ロゴスlogos共通きょうつうクシュノンxynon)であるのに、大多数だいたすう人間にんげんはあたかも私的してき思慮しりょっているかのようにきている(DK 22B2)。個人こじんおもみや偏見へんけんじこもることは「ねむり」であり、ロゴスlogosしたが共通きょうつう理性りせい目覚めざめることが「知恵ちえ」である。

ここに政治せいじ哲学てつがく萌芽ほうががある。「のりノモスnomos)のためにたたかうべきだ、城壁じょうへきのためにたたかうように」(DK 22B44)。共同体きょうどうたいほう宇宙うちゅうロゴスlogosからやしなわれる(DK 22B114)。市民しみん共通きょうつうロゴスlogosしたがうとき、ほう正当せいとうなものとなる。

8. 自然しぜんかくれることをこの

ヘラクレイトスHērakleitos認識にんしきろんつらぬくのは、真理しんり表面ひょうめんにはあらわれないという確信かくしんである。

"「自然しぜんピュシスphysis)はかくれることをこのむ。」" 出典しゅってん:DK 22B123(テミスティオスThemistios弁論べんろん』5.69bに引用いんよう

このみじか断片だんぺんは、ヘラクレイトスHērakleitos哲学てつがく全体ぜんたい方法ほうほうろんてき宣言せんげんでもある。まこと姿すがたピュシスphysis)は、感覚かんかく直接ちょくせつあたえられるものの背後はいごかくされている。だからこそ、かけにだまされずふかかんがえなければならない。かれ文体ぶんたい難解なんかいであるのも、読者どくしゃ安易あんい理解りかいゆるさず、みずか思考しこうさせるための意図いとてき戦略せんりゃくだったのかもしれない。

これとついをなすのがデルフォイDelphoi神託しんたくについての断片だんぺんである。「デルフォイDelphoiかみかたりもせずかくしもせず、しめすのだ」(DK 22B93)。ロゴスlogos明示めいじてきかたられるものでも、完全かんぜん秘匿ひとくされるものでもなく、しるしセーメイオンsēmeion)としてしめされる。解釈かいしゃくようするしるしくこと。これがヘラクレイトスHērakleitosかんがえる「知恵ちえ」であり、かれ自身じしん著作ちょさくもまた神託しんたくのようにかれている。「くらひと」というあだは、かれ意図いとてきえらんだコミュニケーションの様式ようしきあかしでもある。

主要しゅよう著作ちょさくガイド

  • ヘラクレイトスHērakleitos本人ほんにん著作ちょさく散逸さんいつしており、断片だんぺんのみがのこる。以下いか断片だんぺんむための主要しゅよう文献ぶんけん
  • ディールスDielsクランツKranzソクラテスSōkratēs以前いぜん哲学者てつがくしゃ断片だんぺんしゅう』(DK)── ヘラクレイトスHērakleitosは22ばん断片だんぺん研究けんきゅう基本きほん文献ぶんけん
  • マルコヴィッチMarcovich, M. Heraclitus: Greek Text with a Short Commentaryヘラクレイタス:グリーク・テクスト・ウィズ・ア・ショート・コメンタリー(1967, 2nd ed. 2001)── 断片だんぺん批判ひはん校訂こうてい詳細しょうさい注釈ちゅうしゃく
  • カーンKahn, Charlesチャールズ H. The Art and Thought of Heraclitusジ・アート・アンド・ソート・オブ・ヘラクレイタス(1979)── 断片だんぺん意味いみてき連関れんかんもとづいて再配列さいはいれつし、ヘラクレイトスHērakleitos思想しそう体系たいけいてき再構成さいこうせい入門にゅうもんにも研究けんきゅうにも最適さいてき
  • 内山うちやま勝利かつとしへんソクラテスSōkratēs以前いぜん哲学者てつがくしゃ断片だんぺんしゅうだいIIかん岩波いわなみ書店しょてん、1997ねん)── DK断片だんぺん邦訳ほうやく
  • プラトンPlatōnクラテュロスKratylos』── ヘラクレイトスHērakleitosの「万物ばんぶつ流転るてんせつについてのプラトンPlatōn解釈かいしゃく
  • アリストテレスAristotelēs形而上学Metaphysica』Iかん── ヘラクレイトスHērakleitos変化へんか学説がくせつについての古代こだい証言しょうげん

主要しゅよう批判ひはん論争ろんそう

1. パルメニデスParmenidēs反論はんろんヘラクレイトスHērakleitos直後ちょくご登場とうじょうしたパルメニデスParmenidēsは、変化へんか論理ろんりてき不可能ふかのうだと主張しゅちょうした。「あるものはあり、ないものはない」。変化へんかとは「あるもの」が「ないもの」になることであり、理性りせいはそれをれられない。この対決たいけつ(「変化へんか」か「不変ふへん」か)は古代こだい哲学てつがく二分にぶんする根本こんぽん問題もんだいとなった。

2. プラトンPlatōn受容じゅよう批判ひはんプラトンPlatōn感覚かんかく世界せかいについてはヘラクレイトスHērakleitos流転るてんせつれた。しかし、流転るてんする世界せかい彼方かなた不変ふへんイデアideaくことで、ヘラクレイトスHērakleitosパルメニデスParmenidēs統合とうごうはかった。『テアイテトスTheaitētos』(179e-183c)では、ヘラクレイトスHērakleitos弟子でし名乗なのものたちの極端きょくたん流転るてんせつ知識ちしき不可能ふかのうせい)が批判ひはんされている。

3. アリストテレスAristotelēs批判ひはんアリストテレスAristotelēsヘラクレイトスHērakleitos矛盾律むじゅんりつ(「おなじものが同時どうじにあり、かつないことはできない」)を侵犯しんぱんしていると批判ひはんした(『形而上学Metaphysica』IV.3, 1005b23-25)。対立たいりつするものが「おなじ」だとする主張しゅちょう論理ろんり基本きほん原則げんそくやぶるのではないか。ただし、ヘラクレイトスHērakleitos単純たんじゅん矛盾律むじゅんりつ否定ひていしたのか、それとも「おなじ」の意味いみ拡張かくちょうしたのかは、現代げんだい研究けんきゅうでも議論ぎろんつづいている。

4. 断片だんぺん解釈かいしゃく問題もんだい現代げんだい研究けんきゅうでは、断片だんぺん配列はいれつ真偽しんぎ文脈ぶんみゃく復元ふくげんをめぐって見解けんかいかれる。カークKirk(1954)は比喩ひゆてきみ、グスリーGuthrie(1962)は文字もじどおりの元素げんそ解釈かいしゃくする。ストアStoa経由けいゆ伝承でんしょうヘラクレイトスHērakleitos本来ほんらい思想しそうをどこまで正確せいかくつたえているかも重要じゅうよう争点そうてんである。

5. クラテュロスKratylos極端きょくたん流転るてんせつヘラクレイトスHērakleitos弟子でしつたえられるクラテュロスKratylosは、流転るてんせつ極端きょくたんすすめた。「おなかわ一度いちどはいることはできない」。ヘラクレイトスHērakleitosが「二度にど」とったところを「一度いちども」と強化きょうかしたのである(アリストテレスAristotelēs形而上学Metaphysica』IV.5, 1010a12-15)。万物ばんぶつがまったく同一どういつせいたないなら言語げんご意味いみうしなうとして、クラテュロスKratylos最終さいしゅうてきゆびうごかすだけになったという。この極端きょくたん帰結きけつは、ヘラクレイトスHērakleitos自身じしん真意しんい変化へんかのなかに秩序ちつじょロゴスlogos)を見出みいだすこと)をぎゃくらしす。流転るてんだけを強調きょうちょうし、ロゴスlogosによる統一とういつ無視むしすれば、ヘラクレイトスHērakleitos哲学てつがく解体かいたいしてしまう。

影響えいきょう遺産いさん

ストアStoaヘラクレイトスHērakleitos最大さいだい後継者こうけいしゃストアStoaである。ゼノンZēnōnクレアンテスKleanthēsクリュシッポスChrysipposロゴスlogos宇宙うちゅう理性りせいてき原理げんりとして体系たいけいし、による宇宙うちゅう周期しゅうきてき消滅しょうめつ再生さいせいエクピュローシスekpyrōsis)を教義きょうぎんだ。ストアStoaロゴスlogos概念がいねんキリストChristosきょう神学しんがくにも流入りゅうにゅうし、『ヨハネIōannēs福音書ふくいんしょ冒頭ぼうとうの「はじめにことばロゴスlogos)があった」へとつながる。

ヘーゲルHegel弁証法べんしょうほうヘーゲルHegelヘラクレイトスHērakleitos弁証法べんしょうほう始祖しそとしてたか評価ひょうかした。対立たいりつするものの統一とういつ否定ひていつうじた高次こうじ総合そうごう)。この運動うんどうヘーゲルHegelヘラクレイトスHērakleitos断片だんぺんり、みずからの哲学てつがく体系たいけい源泉げんせんとした。マルクスMarxもまたヘーゲルHegelつうじてヘラクレイトスHērakleitos弁証法べんしょうほうてき思考しこう継承けいしょうしている。

ニーチェNietzscheニーチェNietzsche初期しょき著作ちょさくギリシャGreece悲劇ひげき時代じだい哲学てつがく』でヘラクレイトスHērakleitosを「もっと高貴こうき隣人りんじん」とんだ。生成せいせい破壊はかい肯定こうていする態度たいど大衆たいしゅう意見いけんへの軽蔑けいべつ闘争とうそう称揚しょうようニーチェNietzscheみずからの哲学てつがく先駆せんくヘラクレイトスHērakleitos見出みいだした。

ハイデガーHeideggerハイデガーHeidegger一連いちれん講義こうぎ(『ヘラクレイトスHērakleitos』1943-44ねん、GA 55)でヘラクレイトスHērakleitos断片だんぺん徹底てっていてき読解どっかいほどこした。とくにB123「自然しぜんかくれることをこのむ」を、存在そんざいそのものの自己じこ隠蔽いんぺい自己じこ開示かいじ運動うんどうアレーテイアalētheia非隠蔽性ひいんぺいせいとしての真理しんり)としていた。ハイデガーHeideggerにとってヘラクレイトスHērakleitosは、西洋せいよう形而上学けいじじょうがく忘却ぼうきゃくした「存在そんざいい」を最初さいしょ思考しこうした哲学者てつがくしゃであった。

東洋とうよう思想しそうとの並行へいこうヘラクレイトスHērakleitos思想しそうには、東洋とうよう哲学てつがくとく老子ろうしの『道徳経どうとくきょう』)とのおどろくべき並行へいこうせいがある。「タオ」と「ロゴスlogos」はともに万物ばんぶつつらぬ法則ほうそくであり、言葉ことば十全じゅうぜんにはとらえられない原理げんりである。老子ろうしの「わざわいふくるところ、ふくわざわいすところ」(だい58しょう)はヘラクレイトスHērakleitos対立たいりつ統一とういつひびう。直接ちょくせつ影響えいきょう関係かんけい証明しょうめいされていないが、人類じんるい哲学てつがくてき思考しこうことなる文化圏ぶんかけん独立どくりつ類似るいじ洞察どうさつたっしうることをしめ興味きょうみぶか事例じれいである。

現代げんだい科学かがく散逸さんいつ構造こうぞうろんプリゴジンPrigogine)、複雑ふくざつけい科学かがくプロセスprocess哲学てつがくホワイトヘッドWhitehead)など、変化へんかのなかの秩序ちつじょ探究たんきゅうする現代げんだいいとなみは、いずれもヘラクレイトスHērakleitosてき直観ちょっかん共有きょうゆうしている。

現代げんだいへの接続せつぞく

第一だいいちに、変化へんか同一どういつせい問題もんだい企業きぎょう人員じんいん製品せいひんわりながら「おな企業きぎょう」でありつづける。国家こっか領土りょうど国民こくみん制度せいど変化へんかしながら「おな国家こっか」となされる。AIエーアイ学習がくしゅうによってパラメータを更新こうしんつづける。それは「おなAIエーアイ」なのか。ヘラクレイトスHērakleitosの「かわ」のいは、現代げんだい同一どういつせい哲学てつがくパーソナル・アイデンティティpersonal identityろん)に直結ちょっけつする。

第二だいにに、対立たいりつ生産せいさんせい民主みんしゅ主義しゅぎことなる意見いけん対立たいりつ前提ぜんていとする。科学かがく仮説かせつ反証はんしょう緊張きんちょうから進歩しんぽする。市場しじょう経済けいざい競争きょうそう対立たいりつ)から革新かくしんむ。「たたかいは万物ばんぶつちち」という洞察どうさつは、対立たいりつ排除はいじょするのではなく生産せいさんてき組織そしきする知恵ちえ要請ようせいしている。

第三だいさんに、動的どうてき平衡へいこうとしての生命せいめい生物せいぶつがくしゃ福岡伸一ふくおかしんいちは「動的どうてき平衡へいこう」という概念がいねん生命せいめい説明せつめいする。生命せいめいとは物質ぶっしつながれが一定いっていのパターンを維持いじすることだ。これはまさにヘラクレイトスHērakleitosの「かわ」であり、「一定いってい度合どあいでえ、一定いってい度合どあいでえる」の現代げんだい科学かがくばんである。

読者どくしゃへの

  • あなたは10ねんまえ自分じぶんと「おな人間にんげん」だとえるか。なにわり、なにわっていないのか。同一どういつせい根拠こんきょなにか。
  • 対立たいりつ葛藤かっとうのない社会しゃかい理想りそうだろうか、それとも停滞ていたいだろうか。ヘラクレイトスHērakleitosの「えない調和ちょうわ」は現代げんだい社会しゃかいにどのように実現じつげんしうるか。
  • ヘラクレイトスHērakleitosは「大多数だいたすう人間にんげんねむっている」とった。SNSエスエヌエス情報じょうほう洪水こうずいのなかで、「目覚めざめ」とは具体ぐたいてきなに意味いみするか。

名言めいげん出典しゅってんつき)

"「おなかわはいものには、つねことなるみずながれている。」" 出典しゅってん:DK 22B12(アリウス・ディデュモスArius Didymos経由けいゆエウセビオスEusebios福音ふくいん準備じゅんび』に引用いんよう)/原文げんぶん:"ποταμοῖσι τοῖσιν αὐτοῖσιν ἐμβαίνουσιν ἕτερα καὶ ἕτερα ὕδατα ἐπιρρεῖ"
"「この世界せかいは、つねにあったし、あるし、あるであろう──永遠えいえんきるであり、一定いってい度合どあいでえ、一定いってい度合どあいでえる。」" 出典しゅってん:DK 22B30(クレメンスKlēmensストロマテイスStrōmateis』V.104.1に引用いんよう)/原文げんぶん:"κόσμον τόνδε, τὸν αὐτὸν ἁπάντων, οὔτε τις θεῶν οὔτε ἀνθρώπων ἐποίησεν, ἀλλ' ἦν ἀεὶ καὶ ἔστιν καὶ ἔσται πῦρ ἀείζωον, ἁπτόμενον μέτρα καὶ ἀποσβεννύμενον μέτρα"
"「たたかいは万物ばんぶつちちであり、万物ばんぶつおうである。」" 出典しゅってん:DK 22B53(ヒッポリュトスHippolytos全異端ぜんいたん反駁はんばく』IX.9.4に引用いんよう)/原文げんぶん:"πόλεμος πάντων μὲν πατήρ ἐστι, πάντων δὲ βασιλεύς"
"「わたし自分じぶん自身じしん探究たんきゅうした。」" 出典しゅってん:DK 22B101(プルタルコスPloutarchosコロテスKolōtēs駁論ばくろん』1118cに引用いんよう)/原文げんぶん:"ἐδιζησάμην ἐμεωυτόν"
"「わたしにではなくロゴスlogosみみかたむけて、万物ばんぶついちであることをみとめるのが知恵ちえである。」" 出典しゅってん:DK 22B50(ヒッポリュトスHippolytos全異端ぜんいたん反駁はんばく』IX.9.1に引用いんよう)/原文げんぶん:"οὐκ ἐμοῦ, ἀλλὰ τοῦ λόγου ἀκούσαντας ὁμολογεῖν σοφόν ἐστιν ἓν πάντα εἶναι"
"「自然しぜんかくれることをこのむ。」" 出典しゅってん:DK 22B123(テミスティオスThemistios弁論べんろん』5.69bに引用いんよう)/原文げんぶん:"φύσις κρύπτεσθαι φιλεῖ"

参考さんこう文献ぶんけん

  • 原典げんてん資料しりょうDielsディールス, H. & Kranzクランツ, W. Die Fragmente der Vorsokratikerディー・フラグメンテ・デア・フォアゾクラティカー, 6th ed.第6版, 1951.(DK 22B断片だんぺん)── せんソクラテスSōkratēs断片だんぺんしゅう標準ひょうじゅんばん
  • 原典げんてん資料しりょうAristotelēsアリストテレス, Metaphysicaメタフィュシカ I, IV; Nicomachean Ethicsニコマコス・エティクス VIII.2; De Animaデ・アニマ I.2.── ヘラクレイトスHērakleitosへの古代こだい主要しゅよう証言しょうげん
  • 研究けんきゅうしょKahnカーン, Charlesチャールズ H. The Art and Thought of Heraclitusジ・アート・アンド・ソート・オブ・ヘラクレイタス. Cambridgeケンブリッジ UPユニバーシティ・プレス, 1979.── 断片だんぺん意味いみてき再構成さいこうせい
  • 研究けんきゅうしょKirkカーク, G.S. Heraclitus: The Cosmic Fragmentsヘラクレイタス:ザ・コズミック・フラグメンツ. Cambridgeケンブリッジ UPユニバーシティ・プレス, 1954.── 宇宙うちゅうろん断片だんぺん古典こてんてき校訂こうてい注釈ちゅうしゃく
  • 研究けんきゅうしょMarcovichマルコヴィッチ, M. Heraclitus: Greek Text with a Short Commentaryヘラクレイタス:グリーク・テクスト・ウィズ・ア・ショート・コメンタリー. 2nd ed., Sankt Augustinザンクト・アウグスティン: Academiaアカデミア, 2001.── 批判ひはん校訂こうてい標準ひょうじゅん
  • 邦語ほうご文献ぶんけん内山うちやま勝利かつとしへんソクラテスSōkratēs以前いぜん哲学者てつがくしゃ断片だんぺんしゅうだいIIかん岩波いわなみ書店しょてん、1997ねん。── DK断片だんぺんしゅう邦訳ほうやく
  • 研究けんきゅうしょGrahamグレアム, Daniel W.ダニエル・W. The Texts of Early Greek Philosophyザ・テクスツ・オブ・アーリー・グリーク・フィロソフィー. Cambridgeケンブリッジ UPユニバーシティ・プレス, 2010.── DKを補完ほかんするあたらしい断片だんぺんしゅう
  • 研究けんきゅうしょHeideggerハイデガー, Martinマルティン. Heraklitヘラクリート (GA 55). Klostermannクロスターマン, 1979.── ヘラクレイトスHērakleitos断片だんぺんをめぐる講義こうぎろく
  • 概説がいせつStanford Encyclopedia of Philosophyスタンフォード・エンサイクロペディア・オブ・フィロソフィー, "Heraclitusヘラクレイタス" (Daniel W. Grahamダニエル・W・グレアム). https://plato.stanford.edu/entries/heraclitus/