紀元前きげんぜん6世紀せいきミレトスΜίλητοςみなとつひとりのおとこが、青銅せいどうばんうえ世界せかいえがいていた。エーゲかい黒海こっかい地中海ちちゅうかい、そしてその外縁がいえんひろがる大洋たいようアナクシマンドロスἈναξίμανδροςは、られているかぎ最初さいしょ世界せかい地図ちず製作せいさくした人物じんぶつである。しかしかれしん功績こうせき地図ちずではない。える世界せかいの「外側そとがわ」に、えないものをたことだ。

タレスΘαλῆςは「万物ばんぶつ根源こんげんみずだ」と主張しゅちょうした。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςはこうかえした。「なぜみずなのか。みず対立たいりつする。対立たいりつするものの一方いっぽう根源こんげんであるはずがない」。そしてかれ提示ていじしたこたえは、いかなる特定とくてい性質せいしつにも限定げんていされない「限定げんていなもの(ト・アペイロンτὸ ἄπειρον)」だった。これは西洋せいよう思想しそうにおける抽象ちゅうしょう概念がいねん誕生たんじょうである。具体ぐたいてき物質ぶっしつではなく、概念がいねんによって世界せかい説明せつめいする。この知的ちてき跳躍ちょうやくなしに、現代げんだい数学すうがく物理ぶつりがく存在そんざいしえなかった。

この記事きじ要点ようてん

  • 哲学てつがく史上しじょう最初さいしょの「建設けんせつてき批判ひはんアナクシマンドロスἈναξίμανδροςタレスΘαλῆςい(万物ばんぶつ根源こんげんなにか)を継承けいしょうしつつ、その回答かいとうみず)を論理ろんりてき否定ひていした。いを共有きょうゆうしながら回答かいとう刷新さっしんする。これが「哲学てつがくてき伝統でんとう」の原型げんけいである。
  • 抽象ちゅうしょう思考しこう誕生たんじょう:「ト・アペイロンτὸ ἄπειρον」は具体ぐたいてき物質ぶっしつではなく、感覚かんかくではとらえられない原理げんりである。五感ごかんれられるものだけが実在じつざいするのではない、という発想はっそうのち形而上学けいじじょうがく数学すうがく理論りろん物理ぶつりがくのすべてにつうじる。
  • 宇宙うちゅうの「だつ中心ちゅうしん大地だいちなににもささえられず宇宙うちゅう中心ちゅうしんいている、というかれ宇宙うちゅうろんは、「ささえるかめ」や「ささえるはしら」を不要ふようにした。説明せつめい神話しんわてき支持しじたい必要ひつようとしない、自足じそくした宇宙うちゅうぞう最初さいしょ提示ていじである。

生涯しょうがい時代じだい背景はいけい

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος紀元前きげんぜん610ねんごろイオニアἸωνία地方ちほう港湾こうわん都市としミレトスΜίλητοςまれた。タレスΘαλῆςよりやく14さい年下とししたであり、伝統でんとうてきにはタレスΘαλῆςの「弟子でしないし後継こうけいしゃ」とされる(ディオゲネス・ラエルティオスDiogenes Laërtius列伝Βίοι φιλοσόφωνだい2かん1-2せつ)。ただし「弟子でし」という言葉ことば正確せいかく意味いみ制度せいどてき師弟してい関係かんけいなのか、知的ちてき影響えいきょうけた年少ねんしょうどう市民しみんなのか)は、この時代じだいには確定かくていしがたい。

ミレトスΜίλητος当時とうじひがし地中海ちちゅうかいもっと繁栄はんえいした交易こうえき都市としのひとつだった。75ないし90もの植民しょくみんようしたとされ(プリニウスPlinius博物誌Naturalis Historia』5.112、セネカSeneca書簡しょかん88.44では75をかぞえる)、エジプトΑἴγυπτοςバビロニアΒαβυλωνίαリュディアΛυδίαとの交易こうえきつうじて多様たよう知識ちしき技術ぎじゅつ流入りゅうにゅうしていた。とりわけバビロニアΒαβυλωνία天文てんもん記録きろく精度せいどたかく、日食にっしょく月食げっしょく周期しゅうき(サロス周期しゅうき)を経験けいけんてき把握はあくしていたことが楔形文字くさびがたもじ粘土ねんどばんからられている。また、バビロニアΒαβυλωνία創成そうせい叙事詩じょじしエヌマ・エリシュEnūma Eliš』には、原初げんしょ混沌こんとんティアマトTiamat)から対立たいりつつうじて世界せかい形成けいせいされるというモチーフmotifがあり、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςの「ト・アペイロンτὸ ἄπειρονからの対立たいりつぶつ分離ぶんり」との構造こうぞうてき類似るいじがしばしば指摘してきされる(ウェスト『East Face of Heliconヘリコンの東の顔』, Oxford UP, 1997, pp.85-91)。

ただし決定けっていてきちがいがある。バビロニアΒαβυλωνία神話しんわでは創成そうせい神々かみがみ行為こういとしてかたられる。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςはそうした神話しんわてき行為こういしゃ排除はいじょし、自然しぜん原理げんりのみで世界せかい説明せつめいした。このだつ神話しんわこそが、ミレトスΜίλητος学派がくは決定的けっていてき知的ちてき革新かくしんである。

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος活動かつどう多岐たきにわたる。かれはギリシャにグノーモーンγνώμων日時計ひどけい指針ししん導入どうにゅうしたとつたえられ(ディオゲネス・ラエルティオスDiogenes Laërtius列伝Βίοι φιλοσόφωνだい2かん1せつ。なおヘロドトスἩρόδοτος歴史Ἱστορίαιだい2かん109せつは、グノーモーンγνώμων自体じたいバビロニアΒαβυλωνίαからギリシャにつたわったとしており、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςはその媒介ばいかいしゃだった可能かのうせいがある)、てんぶんてん時刻じこく測定そくていした。また、られているかぎ最初さいしょ世界せかい地図ちず製作せいさくし(アガテメロスAgathemerus地理学概要Γεωγραφίας ὑποτύπωσις』1.1)、さらにミレトスΜίλητοςからアポロニアἈπολλωνίαへの植民しょくみん指揮しきしたともつたえられる(アエリアノスAelianus雑録ざつろくだい3かん17しょう)。思弁しべんてき哲学てつがくしゃであると同時どうじに、実践じっせんてき技術ぎじゅつしゃ政治せいじでもあったのだ。

かれはまた、ギリシャ散文さんぶんによる最初さいしょ哲学てつがくしょ自然しぜんについて(ペリ・ピュセオースΠερὶ φύσεως)』をあらわしたとされる(テミスティオスThemistius弁論べんろんだい26かん317c-d。ただしこの帰属きぞく正確せいかくさは議論ぎろんがある)。それ以前いぜんのギリシャの知的ちてき伝統でんとうは、ヘシオドスἩσίοδοςの『神統記Θεογονία』に代表だいひょうされるように韻文いんぶん叙事詩じょじし形式けいしき)でかれていた。散文さんぶん自然しぜん原理げんりろんじるという選択せんたく自体じたいが、韻文いんぶんによる神話しんわてきかたりからの意識いしきてき離脱りだつしめしている。タレスΘαλῆς著作ちょさくのこさなかった(あるいは散逸さんいつした)のにたいし、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος自身じしん思想しそう文字もじとして定着ていちゃくさせた最初さいしょ哲学てつがくしゃである。ただし現存げんそんする断片だんぺんはわずか1つだけであり、のすべては後世こうせい著者ちょしゃによる間接かんせつてき証言しょうげんテスティモニアtestimonia)としてつたわる。

ミニ年表ねんぴょう

  • ぜん610ねんころイオニアἸωνία地方ちほうミレトスΜίλητοςまれる
  • ぜん580年代ねんだいタレスΘαλῆςのもとで(あるいはその影響えいきょうで)自然しぜん哲学てつがくまな
  • ぜん570ねんころグノーモーンγνώμων日時計ひどけい)をギリシャに導入どうにゅうてんぶんてん観測かんそく
  • ぜん560ねんころ最初さいしょ世界せかい地図ちず製作せいさく。『自然についてΠερὶ Φύσεως』をあらわ
  • ぜん547/546ねんころミレトスΜίλητοςにてぼつタレスΘαλῆςとほぼどう時期じき

アナクシマンドロスἈναξίμανδροςなにうたのか

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος直面ちょくめんした問題もんだいは、タレスΘαλῆς遺産いさんそのものだった。タレスΘαλῆςは「万物ばんぶつ根源こんげんアルケーἀρχή)はみずである」と主張しゅちょうした。しかしアナクシマンドロスἈναξίμανδροςはこの回答かいとう根本こんぽんてき欠陥けっかん見出みいだす。

その批判ひはん論理ろんりは、アリストテレスἈριστοτέλης報告ほうこく(『自然学Φυσική』204b22-29)をもとに学者がくしゃさい構成こうせいすると、おおよそ以下いかのようになる。みず対立たいりつする。湿しめかん対立たいりつする。もしみず万物ばんぶつ根源こんげんであるなら、みず対立たいりつするはどのようにしてみずからしょうじうるのか。対立たいりつするものの一方いっぽう根源こんげんであるなら、他方たほう消滅しょうめつさせてしまうはずだ。したがって根源こんげんは、いかなる特定とくてい元素げんそとも「対立たいりつしない」もの、つまり特定とくてい性質せいしつをもたないもの──でなければならない。この推論すいろんアナクシマンドロスἈναξίμανδρος自身じしん言葉ことばでどこまで明示めいじてきだったかは不明ふめいだが、ト・アペイロンτὸ ἄπειρονという概念がいねん論理ろんりてき帰結きけつとして、おおくの研究けんきゅうしゃがこのさい構成こうせい妥当だとうとしている。

この推論すいろんたんなる回答かいとうえではない。タレスΘαλῆςい「万物ばんぶつ根源こんげんなにか」をれたうえで、そのこたえがたすべき論理ろんりてき条件じょうけん明示めいじしたのである。「根源こんげん特定とくてい性質せいしつをもってはならない」。この制約せいやく条件じょうけん発見はっけんこそが、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος哲学てつがくてき革新かくしんだった。

これは哲学てつがく史上しじょう最初さいしょの「内在ないざいてき批判ひはん」(相手あいて前提ぜんてい共有きょうゆうしつつ、その帰結きけつ矛盾むじゅんく)とえる。ポパーPopperはこれを「合理ごうりてき伝統でんとう」のはじまりとひょうしている(Popperポパー, Conjectures and Refutations推測と反駁, 1963, Ch.5)。回答かいとう批判ひはんれるのでもなく、全面ぜんめん否定ひていするのでもなく、いの枠組わくぐみを保存ほぞんしつつ回答かいとう改良かいりょうする。この態度たいどこそが、科学かがく哲学てつがくが「進歩しんぽ」できる根本こんぽんてき理由りゆうである。

核心かくしん理論りろん

1. ト・アペイロンτὸ ἄπειρον── 限定げんていなるもの

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος提示ていじしたアルケーἀρχήは「ト・アペイロンτὸ ἄπειρον」、つまり「限定げんていなるもの」あるいは「かぎりなきもの」である。このは「ペラスπέρας限界げんかい)」の否定ひていけいであり、空間くうかんてき無限むげんであるという意味いみと、質的しつてき限定げんてい(=特定とくてい性質せいしつ限定げんていされない)であるという意味いみ両方りょうほうふくみうる。アリストテレスἈριστοτέληςおも前者ぜんしゃ意味いみろんじ(『自然学Φυσικήだい3かん4-8しょう)、テオフラストスΘεόφραστος証言しょうげんシンプリキオスSimplicius経由けいゆ)は後者こうしゃ強調きょうちょうする。現代げんだい研究けんきゅうしゃおおくは、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος自身じしん意図いととしては質的しつてき限定げんていせい核心かくしんであったとかんがえている(Kirk & Raven, 1983, pp.110-117)。

ト・アペイロンτὸ ἄπειρονみずでもでも空気くうきでもない。それは万物ばんぶつしながら、みずからはいかなる特定とくてい性質せいしつにも固定こていされない。この発想はっそう革新かくしんせいは、感覚かんかくてき把握はあくできないものを根源こんげんえたてんにある。タレスΘαλῆςの「みず」はれることができた。しかしト・アペイロンτὸ ἄπειρον五感ごかんではとらえられない。ここに、経験けいけんてき事物じぶつえた「理論りろんてき存在そんざいしゃ」を思考しこう対象たいしょうとする伝統でんとうに「形而上学けいじじょうがく」とばれることになるもの)の起源きげんがある。

現代げんだい物理ぶつりがくにおける「(フィールド)」の概念がいねん(それ自体じたいえないが、すべての物質ぶっしつちから源泉げんせんであるもの)は、ト・アペイロンτὸ ἄπειρονとお子孫しそんえなくもない。量子りょうしじょう理論りろんにおいて、素粒子そりゅうしの「励起れいき状態じょうたい」として理解りかいされる。そのものは特定とくてい粒子りゅうしではないが、すべての粒子りゅうしがそこからしょうじる。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςが2600ねんまえ直観ちょっかんした構造こうぞうと、おどろくほどている。

2. 対立たいりつぶつ分離ぶんり回帰かいき── 宇宙うちゅう生成せいせいろん

万物ばんぶつはいかにしてト・アペイロンτὸ ἄπειρονからしょうじるのか。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςこたえは「対立たいりつぶつ分離ぶんり」である。ト・アペイロンτὸ ἄπειρον内部ないぶから、まずねつひやかん湿しめといった対立たいりつする性質せいしつたい分離ぶんりする。この分離ぶんりから具体ぐたいてき元素げんそ空気くうきみず)がしょうじ、世界せかい形成けいせいされる(擬プルタルコスΠλούταρχοςストロマテイスΣτρωματεῖςだい2しょうシンプリキオスSimplicius自然学注解In Aristotelis Physicorum』24.13-25)。

しかし分離ぶんりした対立たいりつぶつは、やがてト・アペイロンτὸ ἄπειρονへと回帰かいきする。この生成せいせい消滅しょうめつ循環じゅんかんは、現存げんそんする唯一ゆいいつ断片だんぺん(DK 12 B1)に凝縮ぎょうしゅくされている:

"万物ばんぶつがそこから生成せいせいするところのものへと、万物ばんぶつ消滅しょうめつもする、必然ひつぜんしたがって。なぜなら万物ばんぶつは、ときさだめにしたがって、たがいにその不正ふせいアディキアἀδικία)にたいするばちつぐないを支払しはらうからである。" ── シンプリキオスSimplicius自然学注解In Aristotelis Physicorum』24.18-21(DK 12 B1)。テオフラストスΘεόφραστος経由けいゆ伝承でんしょう

この断片だんぺん西洋せいよう哲学てつがく現存げんそんする最古さいこ散文さんぶんテクストtextのひとつである。しかし、ここには有名ゆうめい解釈かいしゃく問題もんだいがある。「不正ふせいアディキアἀδικία)」「ばち」「つぐない」といった法的ほうてき倫理りんりてき用語ようごは、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος自身じしん言葉ことばなのか、それとも後世こうせいテオフラストスΘεόφραστος要約ようやくするさい挿入そうにゅうした比喩ひゆなのか

カークKirk(1955)はこの法的ほうてき語彙ごいテオフラストスΘεόφραστοςかえし、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος自身じしん表現ひょうげんは「必然ひつぜんしたがって(κατὰ τὸ χρεώνカタ・ト・クレオーン)」の部分ぶぶんかぎられるとろんじた。一方いっぽうカーンKahn(1960)は、法的ほうてき用語ようごこそアナクシマンドロスἈναξίμανδρος原語げんごであり、かれ宇宙うちゅう秩序ちつじょ法的ほうてき正義せいぎのアナロジーでとらえていたと主張しゅちょうする。

いずれの立場たちばをとるにせよ、この断片だんぺん核心かくしん明瞭めいりょうだ。対立たいりつぶつ一方いっぽう(たとえばなつあつさ)が他方たほうふゆさむさ)を「侵犯しんぱん」すると、やがて均衡きんこう回復かいふくされる。宇宙うちゅう法廷ほうていのように、秩序ちつじょによって統治とうちされている。

この思想しそうは、生態せいたいがくにおける「動的どうてき平衡へいこう」や、経済けいざいがくの「均衡きんこう理論りろん」と構造こうぞうてき類似るいじする。重要じゅうようなのは、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος宇宙うちゅう一方いっぽうこうてき崩壊ほうかいではなく、循環じゅんかんてき修復しゅうふくかうてんだ。近代きんだいねつ力学りきがくエントロピーentropy増大ぞうだいによる不可逆ふかぎゃくてきな「ねつてき」を予言よげんする。これとは対照たいしょうてきに、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος宇宙うちゅうでは逸脱いつだつしょうじるたびに「つぐない」によって均衡きんこう回復かいふくされる。生態せいたいがくホメオスタシスhomeostasis恒常こうじょうせい維持いじ、つまり逸脱いつだつ検知けんちし、もと状態じょうたい自動じどう修正しゅうせいするシステム)にちか発想はっそうである。アナクシマンドロスἈναξίμανδρος宇宙うちゅうは、対立たいりつ緊張きんちょうによってうごき、均衡きんこうへの回帰かいきによって秩序ちつじょたも自己じこ調節ちょうせつてきシステムだった。この「対立たいりつ均衡きんこう」の図式ずしきは、ヘラクレイトスἩράκλειτοςの「闘争とうそうろんエンペドクレスἘμπεδοκλῆςの「あいあらそい」をて、ヘーゲルHegel弁証法べんしょうほうにまでながむ。

3. 宇宙うちゅうだつ中心ちゅうしん── 大地だいちなににもささえられていない

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος宇宙うちゅうろんもっとおどろくべき主張しゅちょうは、大地だいちなににもささえられず、宇宙うちゅう中央ちゅうおういているというものだ(アリストテレスἈριστοτέλης天体についてΠερὶ Οὐρανοῦ』295b10-16)。タレスΘαλῆςは「大地だいちみずうえいている」としたが、これでは「そのみずなにささえられているのか」という無限むげん後退こうたいおちいる。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςはこの後退こうたいった。大地だいち落下らっかしないのは、あらゆる方向ほうこうたいして等距離とうきょりにあるため、うご理由りゆうがないからだ、と。

この論証ろんしょうは「充足じゅうそく理由りゆうりつ」の原初げんしょてき形態けいたいである。うごくべき十分じゅうぶん理由りゆうがないならば、うごかない。ライプニッツLeibnizが17世紀せいき定式ていしきするこの原理げんりを、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςは2200ねんまえ宇宙うちゅうろん適用てきようしていた。

かれ宇宙うちゅうモデルでは、大地だいち円柱えんちゅうけいたかさが直径ちょっけいの3ぶんの1)で、その周囲しゅうい同心円どうしんえんじょうく。天体てんたいひらいたあなからひかりであるとされた(アエティオスἈέτιος学説誌Placita Philosophorumだい2かん20-25しょう)。太陽たいようもっと外側そとがわにあり、地球ちきゅうの27ばいおおきさ、つきは18ばいとされた。これらは9の倍数ばいすう(9×1=ほし、9×2=つき、9×3=太陽たいよう)であり、宇宙うちゅうが3:6:9(あるいは1:2:3)という整然せいぜんとした数学すうがくてき比率ひりつ構成こうせいされているとするモデルである。ピュタゴラスΠυθαγόρας学派がくは先立さきだち、「宇宙うちゅう構造こうぞうかず記述きじゅつする」という態度たいど最古さいこれいとされる。

さらに議論ぎろんぶのが、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςが「無数むすう世界せかい」を主張しゅちょうしたかどうかという問題もんだいである。アウグスティヌスAugustinusアエティオスἈέτιος証言しょうげんは、ト・アペイロンτὸ ἄπειρονから無限むげんおおくの世界せかい生成せいせいしうるとつたえる(アエティオスἈέτιος学説誌Placita Philosophorumだい1かん3しょう3せつ)。もしこの伝承でんしょうただしければ、われわれの宇宙うちゅうト・アペイロンτὸ ἄπειρονからまれた無数むすう世界せかいのひとつにすぎず、これは現代げんだいの「マルチバースmultiverse仮説かせつ」とのおどろくべき構造こうぞうてき類似るいじしめす。ただし、コーンフォード1934、CQ 28のように「無数むすう世界せかい」は同時どうじ並行へいこうてきではなく時間じかんてき継起けいきする(ひとつの世界せかいほろびたのちべつ世界せかいしょうじる)とかいする研究けんきゅうしゃもおり、またカークKirk(1955)のようにこの伝承でんしょう自体じたい信頼しんらいせいうたが立場たちばもある。

4. 生物せいぶつ起源きげん── 原初げんしょ進化しんかろん

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος生物せいぶつ起源きげんについても思索しさくした。かれによれば、最初さいしょ生物せいぶつ海中かいちゅう湿しめった環境かんきょうまれ、とげのあるからおおわれていた。やがてかわいた陸地りくち移行いこうするさいからやぶれ、ことなる生活せいかつ様式ようしき適応てきおうした(アエティオスἈέτιος学説誌Placita Philosophorumだい5かん19しょう1せつ)。

さらにおどろくべきことに、人間にんげんさかなのような生物せいぶつなかそだち、自活じかつできるようになってからそと主張しゅちょうした(擬プルタルコスΠλούταρχοςストロマテイスΣτρωματεῖςだい2しょうヒッポリュトスἹππόλυτος全異端反駁Refutatio Omnium Haeresiumだい1かん6しょう6せつ)。その理由りゆうは、人間にんげん幼児ようじ動物どうぶつくらべて自立じりつなが時間じかんようするため、最初さいしょから現在げんざい姿すがた出現しゅつげんしたのでは生存せいぞんできなかったはずだ、というものである。

これをダーウィンDarwin進化しんかろんの「先駆せんく」とぶのは過大かだい評価ひょうかだろう。自然しぜん選択せんたくのメカニズムも、変異へんい遺伝いでん概念がいねんもない。しかし、生物せいぶつ現在げんざい姿すがたのままはじめから存在そんざいしたのではなく、ことなる形態けいたいから変化へんかしてきたという発想はっそうと、その根拠こんきょ合理ごうりてき観察かんさつ人間にんげん幼児ようじ脆弱ぜいじゃくせい)にもとめる態度たいどは、神話しんわてき創造そうぞうろんとは明確めいかくことなる。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςは、生命せいめい起源きげんかみ行為こういではなく自然しぜん過程かていとしてかんがえた最初さいしょ思想家しそうか一人ひとりである。

主要しゅよう著作ちょさくガイド

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος著作ちょさく散逸さんいつしており、現存げんそんするのはわずか1断片だんぺん(DK 12 B1)のみである。以下いかかれ思想しそう復元ふくげんするための文献ぶんけんガイドである。

  • ディオゲネス・ラエルティオスDiogenes Laërtiusギリシア哲学者列伝Βίοι φιλοσόφωνだい2かん1-2せつ加来かく彰俊あきとしやく岩波いわなみ文庫ぶんこ) ── アナクシマンドロスἈναξίμανδρος生涯しょうがい業績ぎょうせき概要がいようつたえるもっと簡潔かんけつ伝記でんきてき資料しりょう
  • 廣川ひろかわ洋一よういちソクラテス以前の哲学者The Presocratic Philosophers』(講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、1997ねん) ── ミレトスΜίλητος学派がくは全体ぜんたい日本語にほんご平易へいい概説がいせつする。タレスΘαλῆςとの関係かんけいト・アペイロンτὸ ἄπειρον意味いみ明快めいかい整理せいりされている。
  • アリストテレスἈριστοτέλης自然学Φυσικήだい3かん4-8しょう出隆いでたかし岩崎いわさき允胤ちかたねやく岩波いわなみ文庫ぶんこ) ── アリストテレスἈριστοτέληςト・アペイロンτὸ ἄπειρον無限むげん)を体系たいけいてき分析ぶんせきする。アナクシマンドロスἈναξίμανδροςへの直接的ちょくせつてき言及げんきゅうふくむ。ただしアリストテレスἈριστοτέλης自身じしん理論りろん枠組わくぐみにせた解釈かいしゃくであるてん注意ちゅうい
  • G.S. Kirkカーク, J.E. Ravenレイヴン, M. SchofieldスコフィールドThe Presocratic Philosophersソクラテス以前の哲学者たち』2nd ed., Cambridge UP, 1983, Ch.4(邦訳ほうやく: 内山うちやま勝利かつとしやくソクラテス以前の哲学者たちThe Presocratic Philosophers京都大きょうとだいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱんかい) ── アナクシマンドロスἈναξίμανδροςぜん断片だんぺんぜん証言しょうげん原典げんてん批判ひはんてき検討けんとうする。ト・アペイロンτὸ ἄπειρον解釈かいしゃく問題もんだいについてもっと詳細しょうさい議論ぎろん提供ていきょうする。
  • C.H. KahnカーンAnaximander and the Origins of Greek Cosmologyアナクシマンドロスとギリシャ宇宙論の起源』, Columbia UP, 1960(再版さいはん: Hackett, 1994) ── アナクシマンドロスἈναξίμανδρος研究けんきゅう古典こてんてきモノグラフmonograph宇宙うちゅうろん詳細しょうさいさい構成こうせいおこなう。

主要しゅよう批判ひはん論争ろんそう

1. アナクシメネスἈναξιμένης批判ひはんどう時代じだい後継こうけいしゃミレトスΜίλητος学派がくはだいさん世代せだいであるアナクシメネスἈναξιμένηςは、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςト・アペイロンτὸ ἄπειρονが「あまりにも確定かくてい説明せつめいりょくとぼしい」とかんがえたようである。かれアルケーἀρχήふたた具体ぐたいてき物質ぶっしつ空気くうきアエールἀήρ)にもどし、その濃縮のうしゅく希薄きはくによって万物ばんぶつ変化へんか説明せつめいした(テオフラストスΘεόφραστοςシンプリキオスSimplicius経由けいゆ)。つまり「限定げんていなもの」では変化へんかメカニズム説明せつめいできない、という批判ひはんである。これは正当せいとう指摘してきであり、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος理論りろんに「具体ぐたいてき変化へんかのプロセス」が不足ふそくしていたことをしめす。

2. アリストテレスἈριστοτέλης批判ひはん後世こうせいアリストテレスἈριστοτέληςは「無限むげんなものは原理げんりたりえない」と主張しゅちょうする(『自然学Φυσική』204a-206b)。かれによれば、無限むげんなものは「完成かんせいされていない」(完了かんりょうたい)であり、原理げんりは「完成かんせいされたもの」でなければならない。また、無限むげん実在じつざいするものとしてみとめると論理ろんりてき矛盾むじゅんしょうじる。ただし、アリストテレスἈριστοτέληςアナクシマンドロスἈναξίμανδροςの「アペイロン」を空間くうかんてき無限むげんとして解釈かいしゃくしているのか質的しつてき限定げんていせいとして解釈かいしゃくしているのかは、テクストtextみによってわる。

3. 現代げんだい解釈かいしゃく論争ろんそうト・アペイロンτὸ ἄπειρον正確せいかく意味いみをめぐって、20世紀せいき以降いこう研究けんきゅうしゃはげしい論争ろんそうつづいている。(a)空間くうかんてき量的りょうてき無限むげん物質ぶっしつとするせつコーンフォードCornford、CQ 28、1934)、(b)質的しつてき限定げんていであるとするせつカークKirk「Some Problems in Anaximander」、CQ 5、1955)、(c)空間くうかんてきにも質的しつてきにも限定げんていなものとする折衷せっちゅうせつカーンKahn、1960)がおも立場たちばである。さらに近年きんねんでは、ト・アペイロンτὸ ἄπειρονは「アルケーἀρχή」ですらなく、万物ばんぶつつつむ「」ないし「環境かんきょう」とかいすべきだとする立場たちばグラハムGraham、2006)も提出ていしゅつされている。決定的けっていてき証拠しょうこ不足ふそくしており、わずか1断片だんぺん後世こうせい証言しょうげんからアナクシマンドロスἈναξίμανδρος真意しんい復元ふくげんすることの困難こんなんさを物語ものがたっている。

影響えいきょう遺産いさん

先行せんこう思想しそうタレスΘαλῆς自然しぜん哲学てつがくアルケーἀρχή探究たんきゅう枠組わくぐみそのもの)、バビロニア天文学てんもんがくグノーモーンγνώμων天文てんもん観測かんそく技術ぎじゅつてき基盤きばん)、近東きんとう宇宙うちゅう創成そうせいろん原初げんしょカオスΧάοςからの宇宙うちゅう生成せいせいというモチーフmotif)。

直接的ちょくせつてき後継こうけいしゃアナクシメネスἈναξιμένηςアルケーἀρχήを「空気くうき」として具体ぐたいしたが、濃縮のうしゅく希薄きはくというメカニズムを導入どうにゅうすることで、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςのこした「変化へんかのプロセス」の問題もんだい応答おうとうした。ヘラクレイトスἩράκλειτοςの「対立たいりつぶつ統一とういつ思想しそうは、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςの「対立たいりつぶつ分離ぶんり回帰かいき」を変奏へんそうしたものとなせる。

とお後継こうけいしゃプラトンΠλάτωνの「受容じゅようたいコーラχώρα)」(『ティマイオスΤίμαιος』49a-52d。それ自体じたいはいかなるかたちたないが、すべてのかたちれる)は、ト・アペイロンτὸ ἄπειρον哲学てつがくてき洗練せんれん形態けいたいえる。アリストテレスἈριστοτέληςの「質料しつりょうヒュレーὕλη)」概念がいねんにも影響えいきょうがある。近代きんだい以降いこうでは、カントKantの「もの自体じたいディング・アン・ジッヒDing an sich)」(認識にんしき形式けいしきったあとにのこる、りえない基体きたい)や、スピノザSpinozaの「実体じったい(substantia)」にも構造こうぞうてき類似るいじみとめられる。

科学かがくへの波及はきゅう大地だいちなににもささえられずにいているという宇宙うちゅうろんは、コペルニクスCopernicusてき転回てんかいとお前史ぜんしである。宇宙うちゅう構造こうぞう数学すうがくてき比率ひりつ記述きじゅつしようとした態度たいどは、ピュタゴラスΠυθαγόρας学派がくはケプラーKepler惑星わくせい運動うんどう法則ほうそくいたながれの起点きてんのひとつである。生物せいぶつ起源きげんかんする思索しさくは、18世紀せいき博物学はくぶつがく(ビュフォン、ラマルクLamarck)をダーウィンDarwin進化しんかろんへと合流ごうりゅうする知的ちてき水脈すいみゃくの、もっとふる源泉げんせんのひとつである。

現代げんだいへの接続せつぞく

アナクシマンドロスἈναξίμανδρος遺産いさんみっつの次元じげん現代げんだいきている。

だいいちに、えないものを思考しこうする」という態度たいど現代げんだい物理ぶつりがく基本きほん概念がいねんじょう、エネルギー、暗黒あんこく物質ぶっしつ量子りょうし状態じょうたい)はいずれも直接ちょくせつ感覚かんかくでは把握はあくできない。理論りろんてき推論すいろんによってのみアクセスできる実在じつざいみとめる思考しこう様式ようしきは、アナクシマンドロスἈναξίμανδροςト・アペイロンτὸ ἄπειρονはじまる。数学すうがく基底きていをなす無限むげん連続れんぞくたい経済けいざいがく想定そうていする「市場しじょう」もまた、五感ごかんれることはできない。えないが万物ばんぶつ根底こんていにあるもの。この概念がいねん構造こうぞうは、2600ねんてもなお科学かがく哲学てつがく中核ちゅうかく位置いちしている。

だいに、批判ひはんてき継承けいしょう」というすすかた尊重そんちょうしつつその回答かいとう論理ろんりてきえる。この態度たいどは、学術がくじゅつ論文ろんぶんの「先行せんこう研究けんきゅう批判ひはん」や、組織そしきにおける「建設けんせつてき議論ぎろん」と同型どうけいである。まえ世代せだい仕事しごとぜん否定ひていするのでもなく、批判ひはんれるのでもなく、改良かいりょうする。この姿勢しせいは、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος哲学てつがくきざんだDNAである。

だいさんに、対立たいりつ均衡きんこう」の世界せかいかんアナクシマンドロスἈναξίμανδρος宇宙うちゅうでは、対立たいりつぶつたがいに「不正ふせい」をおかしては「つぐなう」ことで秩序ちつじょ維持いじされる。この動的どうてき平衡へいこう思想しそうは、生態せいたいけい恒常こうじょうせい民主みんしゅ主義しゅぎにおける権力けんりょく分立ぶんりつ市場しじょう経済けいざいにおける需給じゅきゅう均衡きんこうなど、現代げんだい社会しゃかい基本きほん構造こうぞうおおくにつうそこしている。「一方いっぽうてき支配しはい不正ふせいであり、やがて修正しゅうせいされる」。これは宇宙うちゅう法則ほうそくであると同時どうじに、政治せいじ哲学てつがく原理げんりでもある。

読者どくしゃへの

  • あなたの仕事しごと学問がくもんにおいて、「回答かいとう」をれつつも「いの枠組わくぐみを保存ほぞんしたまま回答かいとう改良かいりょうした」経験けいけんはあるか? それはどのような知的ちてき勇気ゆうきようしたか?
  • 現代げんだい科学かがくあつかう「えない実在じつざい」(暗黒あんこく物質ぶっしつ量子りょうしじょう数学すうがくてき構造こうぞう)は、ト・アペイロンτὸ ἄπειρονとどこがていて、どこが決定的けっていてきことなるか?
  • アナクシマンドロスἈναξίμανδροςの「対立たいりつぶつ均衡きんこう」モデルを現代げんだい社会しゃかい適用てきようするなら、いまもっとも「不正ふせい」が蓄積ちくせきし、やがて「つぐない」がおとずれる領域りょういきはどこだとおもうか?

名言めいげん出典しゅってんつき)

"万物ばんぶつがそこから生成せいせいするところのものへと、万物ばんぶつ消滅しょうめつもする、必然ひつぜんしたがって。なぜなら万物ばんぶつは、ときさだめにしたがって、たがいにその不正ふせいたいするばちつぐないを支払しはらうからである。" ── シンプリキオスSimplicius自然学注解In Aristotelis Physicorum』24.18-21(DK 12 B1)。テオフラストスΘεόφραστος経由けいゆ西洋せいよう哲学てつがく現存げんそんする最古さいこ散文さんぶん断片だんぺんのひとつ。宇宙うちゅう生成せいせい消滅しょうめつを「正義せいぎ」の概念がいねん統治とうちする、アナクシマンドロスἈναξίμανδρος根本こんぽん思想しそう凝縮ぎょうしゅくする。/原文げんぶん引用文いんようぶんない括弧かっこない原語げんご表記ひょうき参照さんしょう
"万物ばんぶつ根源こんげんアルケーἀρχή)は限定げんていなるもの(ト・アペイロンτὸ ἄπειρον)である。" ── アリストテレスἈριστοτέλης自然学Φυσική』203b6-15 およびテオフラストスΘεόφραστοςシンプリキオスSimplicius経由けいゆ)による帰属きぞくアナクシマンドロスἈναξίμανδρος自身じしん原語げんごかどうかは議論ぎろんがあるが、かれ中心ちゅうしん命題めいだいとしてひろみとめられている。/原文げんぶん引用文いんようぶんない括弧かっこない原語げんご表記ひょうき参照さんしょう
"大地だいちなににもささえられず、いかなるものにも強制きょうせいされずにとどまっている。すべてのものからの距離きょりひとしいためにうごくことがないのである。" ── アリストテレスἈριστοτέλης天体についてΠερὶ Οὐρανοῦ』295b11-16(等距離とうきょりゆえの静止せいし)。地球ちきゅう円柱えんちゅう太鼓たいこじょう)であるという形状けいじょう証言しょうげんは、アエティオスἈέτιος学説誌Placita』III.10.2 および ヒッポリュトスHippolytus全異端駁論Refutatio』I.6.3 にえる。/原文げんぶん引用文いんようぶんない括弧かっこない原語げんご表記ひょうき参照さんしょう

参考さんこう文献ぶんけん

  • 断片だんぺん証言しょうげん:H. Dielsディールス & W. Kranzクランツ へんソクラテスΣωκράτης以前いぜん哲学てつがくしゃたちの断片だんぺんDie Fragmente der Vorsokratikerディー・フラグメンテ・デア・フォアゾクラティカー)』だい1かんアナクシマンドロスἈναξίμανδροςしょう(DK 12)。断片だんぺんB1およびぜん証言しょうげん(Aへん)を収録しゅうろく
  • 証言しょうげんアリストテレスἈριστοτέλης自然学Φυσικήだい3かん出隆いでたかし岩崎いわさき允胤ちかたねやく岩波いわなみ文庫ぶんこ); アリストテレスἈριστοτέλης天体についてΠερὶ Οὐρανοῦ』(山本やまもと光雄みつおやく岩波いわなみ文庫ぶんこ)── 大地だいち静止せいしかんする証言しょうげん(295b10-16);アエティオスἈέτιος学説誌Placita』III.10.2 および ヒッポリュトスHippolytus全異端駁論Refutatio』I.6.3 ── 地球ちきゅう形状けいじょう証言しょうげん
  • 伝記でんきディオゲネス・ラエルティオスDiogenes Laërtiusギリシア哲学者列伝Βίοι φιλοσόφωνだい2かん1-2せつ加来かく彰俊あきとしやく岩波いわなみ文庫ぶんこ)。
  • 標準ひょうじゅん研究けんきゅう:G.S. Kirkカーク, J.E. Ravenレイヴン, M. SchofieldスコフィールドThe Presocratic Philosophersソクラテス以前の哲学者たち』2nd ed., Cambridge UP, 1983, Ch.4(邦訳ほうやく: 内山うちやま勝利かつとしやくソクラテス以前の哲学者たちThe Presocratic Philosophers京都大きょうとだいがく学術がくじゅつ出版しゅっぱんかい)── アナクシマンドロスἈναξίμανδρος断片だんぺん証言しょうげんもっと厳密げんみつ検討けんとうする標準ひょうじゅん参考さんこうしょ
  • 専門せんもん研究けんきゅう:C.H. KahnカーンAnaximander and the Origins of Greek Cosmologyアナクシマンドロスとギリシャ宇宙論の起源』, Columbia UP, 1960(再版さいはん: Hackett, 1994)── 宇宙うちゅうろん詳細しょうさいさい構成こうせいおこなモノグラフmonograph古典こてん
  • 概説がいせつ廣川ひろかわ洋一よういちソクラテス以前の哲学者The Presocratic Philosophers』(講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ、1997ねん)── 日本語にほんごめる定評ていひょうのある入門にゅうもん概説がいせつ
  • 科学かがく哲学てつがくてき視点してん:K.R. PopperポパーConjectures and Refutations推測と反駁』, Routledge, 1963, Ch.5 ── 「合理ごうりてき伝統でんとう」の起源きげんとしてアナクシマンドロスἈναξίμανδροςろんじる。批判ひはんてき合理ごうり主義しゅぎ観点かんてんから初期しょきギリシャ哲学てつがく位置いちづける。
  • 近東きんとうとの比較ひかく:M.L. WestウェストThe East Face of Helicon: West Asiatic Elements in Greek Poetry and Mythヘリコンの東の顔:ギリシャ詩と神話の西アジア的要素』, Oxford UP, 1997 ── バビロニア・近東きんとう宇宙うちゅうろんとギリシャ哲学てつがく比較ひかく研究けんきゅう標準ひょうじゅん文献ぶんけんだい3しょうミレトスΜίλητος学派がくは近東きんとう関係かんけいろんじる。
  • 最新さいしん研究けんきゅう動向どうこう:D.W. GrahamグラハムExplaining the Cosmos: The Ionian Tradition of Scientific Philosophy宇宙を説明する:イオニアの科学哲学の伝統』, Princeton UP, 2006 ── ミレトスΜίλητος学派がくは科学かがくてき思考しこうさい評価ひょうかする近年きんねん重要じゅうよう著作ちょさく